0131 時には傀儡にもなる
都内某日、賃貸物件の所有者である家主さんへ挨拶をするために先方のオフィスへ出向きました。
最近はあまり外部の人と会って話をすることがなく、従業員やコーチングコンサルタントとの対話でさえ、以前の神田松永町の7坪のオフィスでは物理的なスペースがなかったのでしていなかったですし、また人事マネジメントに力を入れていなかったのもあり身内へ向いてコミュニケーションする姿勢はなかったと言っても過言ではないです。
それでよく成り立っていたなとは思いますが、当時の私は従業員に対しての施しは高い給与が第一で、それ以外は多少忙しくても、環境が劣悪であっても、経営者の私との関係がドライであっても、給与が高いから目を瞑ってもらえるだろうと考えていました。サービス残業をさせないとか、業務で使用する経費は支出を許可したり、たまに美味いものをご馳走したりなどストレスを与えないように心掛けてはいましたが個別にしっかりと向き合い関係を深めるという考えはむしろ避けていたと思います。
どう思いますか?人と関わるって正直ちょっと面倒くさいですよね。気を遣うし人件費かかりますし社会保障とか会社が半分支払うとか意味不明ですし。今の売上利益を達成できるのであれば一人でやっていたほうが断然気楽で効率よいですね、インターネットビジネスの猛者や資産運用のプロである高スキルを持った一握りの人々なら実現可能だろうとは思います。
わが社は従業員のため、とか社会のためとか本当はあまり言いたくありません。きれいごとに聞こえやすいし、何かクレーム遭った際に面目ないし、そもそも本人は望んでないかもしれません。高い給与もらえればいいんだよ、レート良く両替できればいいんだよと従業員や大半のお客様は思っているに違いないという私の考えは昔から本筋は変わっていません。
いわゆる単なる労使契約でそれ以上のものを提供したいという気持ちがなかったわけではなく、その術を知らないし実行するほどのお人よしで人間出来ているザ経営者という器でももちろんないですし、松下幸之助になれるとも思っていません。
それでも最近はなぜ従業員と向き合おうとなり、月2回勉強会をし、月1面談をし、週一ありがとうコメント、四半期受賞制度を設けたりを続けているかといえば、シンプルにそのようにしたらどうですかと言うコーチングコンサルタントに出会ったからというのがきっかけです。
人事というのは対人関係なので難しいです、勤め人時代は煙たがられながらも色々な会社へ飛び込み、多くの電話帳名簿にテレアポを掛けまくっていましたので営業成果は出ませんでしたが臆せず人と対峙できるという自信はなぜかつきました、商談まで進むことはほぼなかったのでじっくりと交渉するという経験はありませんでした。
今は普段の重要な戦力である従業員一人一人と一度のミーティングでも1時間以上は話し込み、気持ちや考えを聞き、こちらのそれも伝えるようにしています。この対話の効果は数字などではっきりと表れるインジケーターはありませんので私の感覚や社内の雰囲気で感じ取るものだと思いますが、この子にはこういう良い所があるんだという発見があり、知らない課題も伝えられ理解ができるのでお互いを高めるために新たな新事業や機会もどんどん任せていき、さらなる可能性を広げたいと思っています。
人事は難しいと書きましたが、現在でも悩んだり課題・問題が出てくるときは当然あります。自分で解決策が見つけられない時にはコーチングコンサルタントに相談をします。というよりほぼ丸投げという形でその存在は有難く最もストレスを抱えるリスクを内包している人間関係を解決する強力なアドバイザーがいるというのは気が楽です。それで自分が考えることをやめて思考停止に陥ってはいけないと思いますが、私の根底にある考えは信賞必罰ですので、例えば会社に損害を与えたり組織運営に支障をきたせば当事者にとって不利益になるような制裁を与えるという第一義的な考え方が根強いです。
その罰則を適用したりけん制を与えることで当事者が更生すれば良いのですが、本当はそのような北風政策は適切ではないという思いもあるのでそれに代わる太陽政策の手段を講じるべきですが、その手段を知りません。罰則を適用したいと思える事象は責任者としての私が感情的になりやすい部分もありますのでね。
その時にコーチングコンサルタントに相談すると私の意見も理解したうえで、こうしたらどうですかと意見をくれますが、その性質は見守るとか、聴くだけとか、考えさせるなどの対応に終始してくださいと言われることが多いです。こちらは立場が上なので、上から理詰めで押さえつけ懲らしめることは安易ですし人によっては効果があるかもしれません。しかし、相手にその原因を分析させ、その時の感情を吐き出させ、こちらからは多くを告げず聴く側に徹するというのです。
私も相談前は感情的になっているので悪い意味で熱くなっているのですが相談後には「ふんふん、なるほど」と落ち着いて冷静に、そして手段としての解決策が出たので一通りメモしその通りトレースして実行するだけという立場になるので気楽に臨めます。
ミサイルを打ち込まれたら、打ち込み返したくなるのは人の性ですが、それを受け止め対話するという器が経営者には必要なのだなと平和主義を目指す私には身に沁みました。
営業、事務、人事、経理、財務等、会社の仕事は多岐に渡りそのすべてを自分ひとりでやるのは不可能ですので従業員に任せたり外注したりしますが、蛇の道は蛇、餅は餅屋、人事に関しては人の心が介在するのでやはりこの部分は経験豊富な信頼できるプロに任せるのが効率的で、私は操り人形になってでも求心力を発揮できれば結果オーライとさえ思います。
さて、家主さんとの面会ですが賃貸契約をするビジネスの関係でありながらも人との出会いはご縁ですので私からお願いをしました。1度でも会ってお互いを知るというのは大事ですが、相手を知らないというのはあらぬ疑いを持ったり、好感を持つ理由が見いだせないために最悪は疑心暗鬼を生じる恐れがあります。私は永く続けたい、お相手も同感と思います。それがビジネスパートナーですので家主店子の契約関係以上のご縁が出来ればよいなと思うくらい気さくな方でした。家賃滞納等を起こさないのは当然ですが、今後はお会いすることはあまりないため疎遠にならないような工夫が必要かなと思いました。どうすればできるだろうかと考えさせられましたが、ふと疎遠になっている人々を思い出し、圧倒的に関係を放置している自分がいるなと反省をしました。